嗚呼、小人憐れむべし。ブッシュ・小泉首脳会談・続編
前回の記事にも記述しましたが、今回の首脳会談について再度触れてみたいと思います。

小泉首相とブッシュ大統領は、一方では、選挙に圧倒的な差をつけて「大勝」し、世論調査(情報操作も考慮にいれるべきでしょうが)でも6割の支持率を得ている、日本の為政者。また、他方ではハリケーンやイラク戦争の出口の見えない、戦争に国民を駆り立て、イラクは「ベトナム戦争化」し、世論の「批判」にさらされている、アメリカの為政者という、とても、「対照的な」会談なのだと思います。

しかしながら、日本にどれだけの「負担」を強いて来たという、事実は動かしようのない根拠があるわけですから、

「日本にこれ以上、何の負担を強いるのか!」




という、怒りに満ちた世間の声もあるのかも知れません。

結局のところ、小泉首相の「テロとの戦いは長くてつらい戦いだ、しっかりとした支援をしなくてはならない」との言葉の通り、この会談の本丸は、前に述べた通り、「イラク派遣の延長」と「在日米軍再編」による日本国内の、アメリカの「要塞基地化」であると思われます。

さて、今回報道されている、「日米首脳会談の骨子」を取り上げ、私なりの私見を
はさんで記述して見たいと思います。

(※は私のコメント)

1 日米同盟強化が重要との認識

※言うまでもなく、極東アジア諸国の軍事面での優位性を確立したことをアピールさせたいという思惑が見え隠れしています。つまり、「仮想敵国」 を中国とし、その中国を牽制することで、日中関係を疎遠にし、対米貿易を上回る、対中貿易の勢いを削ぐ意図があると思います。

2 小泉首相は在日米軍再編に積極的に努力する

※当然、今まで日本はアメリカの「核の傘」の中での安保関係であることは、過去の戦後史においても明らかですが、日本国中をアメリカの要塞化とすることで、中台関係を牽制、或いは北朝鮮への圧力を狙ったものであり、今後、国内の自治体が、基地問題を巡って、混迷を極め、内には国民に「負担を強いて」外には「威嚇」という、手段で国際社会での「優位性」を主張するものだと思われます。

3 首相は事実上のイラク自衛隊派遣(派兵)の延長表明
  
※この背景には戦費のかさむアメリカの一翼を担い、イラクでの石油資源の「分け前」にあやかりたいという思惑があります。混迷するイラクとブッシュ政権との「一蓮托生」を押しつけ、それを簡単に小泉は受け入れたという図式でしょう。

4 首相は米国産牛肉の輸入再開の方針

※米国内の世論が、厳しく、その肩代わりを日本に、これも「押し付けた」という 印象を持ちます。輸入再開に踏み切れば、アメリカの農産業業界の「批判」 もかわされるのかも知れません。

5 ブッシュ大統領は、北朝鮮による拉致被害者問題を懸念し共有する

※これに関して今まで、アメリカは本気で取り組んできたとは言いがたいと言わざるを得ません。それに、中国との関係を改善しない限り、北朝鮮と親密な関係にある中国の協力なしには、この問題の解決はますます、困難に直面するでしょう。

6 首相は、日中関係は強化されていると表明

※「靖国問題」を巡って、これだけ中韓関係が冷え込んでいる中で、全く「無意味」 かつ「荒唐無稽」な所信表明です。その証拠に中韓首脳は「靖国」反対で連携しさらに、困難で稚拙なアジア外交を、展開する日本政府のあり方が、見えてきそうです。

7 大統領は日本の国連安全保障理事会の「常任理事国」入りを支持

※これによって、日本はアメリカの「手伝い戦」に参戦されるでしょうし、「憲法改悪」の先には大手を振って、他国を「侵略」する準備が整うのかもしれません。

8 大統領は、小泉首相の「構造改革」を評価

※郵政民営化により、350兆円の郵貯をアメリカの金融関連に横流しし、公務員・ 医療制度改悪・年金改悪・福祉・教育・行政サービスを切り捨て、その「余剰」を混迷するイラク戦費に回される可能性もあるのかも知れません。

9 両首脳は、鳥インフルエンザ対策で連携強化

※日本国内では厚生労働省の試算によれば、この「現代版ペスト」の流行により、国民の4人に1人は罹患し、最悪の場合、世界で7400万人が死亡、国内の死者も16万7000人に達すると試算されています。国内ではインフルエンザの医薬品「タミフル」の備蓄が、全国の都道府県で、5つの県でしか、対策を立てておらず、しかも、備蓄量が懸念されます。また、HIV関連の医薬品も、南アフリカの例を見るに、貧困と差別にあえいでいる国には、アメリカはHIV関連の医薬品の提供を拒んでいるようです。このような国に、はたしてこの新型インフルエンザの、対策や連携が強化できるか大変疑問です。


それにしても、「対米偏重」の強化は、近隣諸国の警戒心を持たせるばかりで、何の「利」ももたらさないと考えます。第一、安保と軍事同盟の強化は、大変危険な状勢を生み、ひいては、アジア諸国の外交問題の「懸案事項」を解決するのが、ますます、困難な状勢を生むだけだからです。

しかしながら、この会談の裏側では、密かなる「ブッシュ離れ」が進行しているのも、事実のようです。ブッシュの思惑は、米国内で政治的圧力を日本に向けさせ、「負担」を背負わせることが目的でしょうし、一方、小泉の腹の中では、「アメリカにややこしい問題をこれ以上持ち込まれるのはごめんだ」という、両者の溝もあるのは確かのようです。

さらにこの小泉の駆け引きの中では、これ以上の対米追従の批判をかわしたいとの思惑もあるのかも知れません。


しかしながら、私が今回、非常にこの両者の「人間的資質」を疑うのは、この両者の「リップサービス」にある種の「嫌悪感」と「気味の悪さ」と「心中とは裏腹の異常な親密感」に唾棄すべき感情をもよおしてくるからです。

この両者、「蜜月の演出」の最たるもの中で、ブッシュ大統領は「自分の両親に贈ったことがある」米国開発の充電式立ち乗り二輪車を、小泉首相にプレゼントし、「準ファミリーの扱いです」とのたまえば、「家族同様に考えている」との台詞。(前回は、確か『グローブ』でしたね、アメリカ野球界の)

また、今回の9.11衆議院選挙を、いたく評価した大統領は小泉首相が「奇跡と言っていい選挙だった」と言うのに対し「奇跡なんかではなく、あなたの指導力の賜物だ」と言い、これにこのポチ公、ご主人様のほめられたのがうれしくて仕方ないのか、かなりご満悦だったとか。


「嗚呼、小人、憐れむべし!!」


こんな、スケールの小さい、為政者に混迷極める世界情勢と日本の行く先を、好き放題させていいのでしょうか?

最後に、

古代中国の思想書に「韓非子(かんぴし)」がありますが、その「亡徴篇」を引用します。

『国小にして卑(ひ)に処(お)らず、力少なくして強を畏(おそ)れず、礼なくして大隣を侮り、貧愎(たんふく)にして交わりも拙きものは、亡ぶべきなり』


「国が小さいのに、尊大に振るまい、強国を警戒しない。国境を接している大国を馬鹿にして、礼節をもって対応しない。自国の利益しか眼中になく、およそ、外交というものが分からない。このような時、国は滅びるであろう」
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by rosso_fiolencino | 2005-11-17 21:55 | 政治・時事
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