ここ数日間の防衛問題と憲法9条について
ここ数日間、防衛関係の動きがにわかに加速しており、懸念を深めています。先月11月25日、防衛庁は陸海空自衛隊の、「統合運用開始」を来年3月に控えて、現在、統合幕僚会議長から、自衛官つまり制服組のトップとなる、統合幕僚長の権限を強化して、内局の官僚、つまり背広組に限っていた、直接補佐を制服組へ認めて、制度化することを盛り込んでいます。





それは、どういうことかと申しますと、戦後今まで日本が貫いてきた文民統制(シビリアンコントロール)の概念がいっぺんに屈返させられるわけであり、ここにきて、戦争準備の下地が確実に近づいてきた感があります。

この背景にはイラクの自衛隊派遣が進み、ミサイル防衛等の迅速な対応ができる体制作りがあるのでしょうが、これは大変危険な状況であると私はにらんでいます。もし、制服組が「文民統制」の概念を打ち破り、制服組の権限を軽視すれば、職業軍人の意見が止め処もなく突き進み、やがて、制服組が政治的な介入に寄与してくるであろうことは充分予測できます。

「自衛隊は実働の時代であるから、軍事・政策の観点から長官を補佐することで、背広組と制服組との上下関係を是正する」ということなのですが、過去、日本が旧陸軍の中国大陸での「暴走」を止めることができず、戦線が拡大し泥沼の戦いになったことは、周知の事実です。

「歴史は繰り返す」と言いますが、これが、運用面に適用されれば、自衛隊はなし崩しに海外へ派兵できる口実ができるでしょうし、アメリカとの共同作戦も「円滑に進み」その「お先棒を担ぐ」という事態になりかねません。過去、石破元長官の時には、制服組が防衛参事官制度の廃止を求め、内部での対立がありましたが、ここに至って、権限を勝ち取った形になりました。

それに関連しまして、「防衛庁」が「防衛省」に格上げされるという問題が浮上してきました。この省格上げの背景には、'02年に自民と公明、旧保守の三党が優先課題であったという経緯があります。公明党が児童手当の拡充を自民が受け入れる形で'06年度予算で実現する可能性を持って「取引の材料」とし、公明党の神崎氏が名称を「防衛国際平和省」「防衛国際貢献省」とし、「防衛省」と略称してもいいとの発言が確認されています。

結局のところ、公明党は与党内での「抑止力」になり得ず、ただ、今の小泉政権に迎合するだけの政党であることが、証明されたことになります。(教育基本法の『愛国心』の記述に関しても、記述内容を工夫とありますがこれも自民に押された形になったと言っても過言ではないでしょう)

振り返ってみれば、戦後、1950年に勃発した「朝鮮戦争」をきっかけに、旧陸海軍の軍人から失業者等が応募した「憲法9条」の概念に反する「警察予備隊」が発足しました。そして、4年後の1954年3月、日米相互防衛援助協定(MSA協定)に調印し、防衛二法を制定しました。(防衛二法=自衛隊法・防衛庁設置法)

これで、アメリカとの安保関係が確固となる状況が作り出せるようになったわけですが、自衛隊法の3条は「わが国の平和と独立を守り、国の平和を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し、わが国を防衛することを主たる任務とし」というように、あくまでも「専守防衛」を貫く趣旨の元で発足しています。
この防衛二法が発足した6月2日には「自衛隊の海外出動に関する決議」が参議院で可決されており、あくまでも、自衛隊を「憲法の枠内に置く」という趣旨を盛り込んでいます。

そこには、「自衛とは海外に出動しないということでなければならない。如何なる場合によっても、一度この限界を超えると、際限なく遠い外国へ出動する。窮屈でも不便でも憲法9条が存在する限り、この制限は破ってはならない」という理念の下で、かつての自衛隊は発足とした厳然たる事実が、ここにあります。

「憲法9条」は、自衛隊の肥大化を阻止し、ある種の「抑止力」として、或いは「憲法の管理下」へ置くということで、日本は平和国家として、戦後再建し、経済成長してきたのです。

「9条を改正する」ことは、過去の歴史が証明するように、歯止めが利かない、軍事的な暴走を誰も止めることができなくなるでしょうし、場合によっては、自衛隊の権限が政治的権限を優先して「一人歩きする」可能性は充分あるのです。

関連の追記ですが、「対テロ支援」としてODAを活用し、インドネシアとフィリピンに数十億円規模の支援をすることになりそうですが、これでいっそう、日本はイスラム世界を敵に回すリスクを抱えますし、今月の4日にはイラクの陸自は、地元サマワ郊外のデモ隊に「投石」されています。

今後、防衛問題はどこへ向かうのでしょうか?

用語解説・防衛参事官とは?



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by rosso_fiolencino | 2005-12-05 21:32 | 政治・時事
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