アメリカ産牛肉輸入再開について・その4
さて、このアメリカ産牛肉輸入再開について、過去の事例から考察してきましたが、今回で一区切りつけて見たいと思います。

前回に書きましたように、今月の12日に政府はなし崩しにBSE発生で輸入禁止になっていたアメリカ産牛肉再開を決め、その18日には第一便が到着しました。「拙速」であると同時に、米国内の管理体制にまだ、「疑問符」がつく中で何故、このような「民意」に反することを堂々とやってのけるのでしょうか?



2001年の秋、私はある週刊誌のBSEによる記事を読んだ中で、アメリカ産の牛肉も危ないとありました。その後、管理体制等安全性が確保されているのは、「オーストラリア産」ということで、巷のスーパーやファミリーレストランの広告では、「本店はオーストラリア産牛肉を使用しています」と謳ったチラシや、ポスターをよく見かけたものです。

ほどなくして、アメリカでBSEが発生したときに、世界中に蔓延した「肉骨粉」の影響を考えさせられました。生後20ヶ月の牛の管理問題がニュースになった時に、アメリカ国内でその管理体制の甘さが指摘されていたのを記憶しています。

さて、今回の輸入再開では生後20ヶ月以下で、特に危険部位とされる部分を除去した牛の肉と内蔵に限られますが、本当に安全と言えるのでしょうか?米国内からも問題点の指摘がなされている声の中に「米国の規制には依然、多くの抜け穴がある。食品、食肉業界の影響力が強いためだ」とあります。

結局、ブッシュ大統領はアメリカ国内における「イラク戦争」の泥沼化とハリケーンに代表される自然災害対策の批判をできるだけ緩和させ、少なくとも農産物輸入解禁の圧力を日本に向け、日本では小泉独裁政権のある種の「フリーハンド」を得た、理念なき政策のつけを私たち日本国民がそれを払わなくてはならないのではと、考えます。結局のところ、国民の安全や安心できる食品の提供と言う視点ではなく、日米の「政治的妥協」の影響をここでみることができます。

さらに言うならば、医療・教育・税制・軍事・憲法に至るまで、官僚や族議員の力を、削いだ小泉政権の悪影響がこのような形に反映され、ありとあらゆる小泉独裁政権の「国民いじめ」の実態の流れを感じさせます。

上記「米国規制云々」を発言した、米消費者同盟のハンセン博士は、全頭検査をはじめとする日本のBSE予防体制は米国に勝っていると指摘。「せっかくの高い安全基準を日本は緩めるべきではない」と力説したそうです。

米国農務省は、肉骨粉の使用を「1997年から規制している」と言いますが、米国内の生産者や専門からでさえ、その疑問が投げかけられています。「そんなのジョークだよ」と家族経営の農家を支援する非営利団体のペック理事長は、米国の飼料規制をこのように「酷評」しています。実際には強制力に乏しく、「自主的なものにすぎない」と言うのです。肉骨粉が入っていた豚などの飼料袋を牛用に再利用している農家もあるとも。

一方、日本国内の消費者の反応はどうかと申しますと、6割から7割が米国産の牛肉を買わないと考えており、輸入再開に対する「不安」が根強いことを示しています。ただ、私は、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざ通り、政府は徐々に再開を始めながら、米国産の牛肉の安全性をアピールするか、もしくは、マスコミ等の「口封じ」と時期が来れば関心が薄れるのを見計らっているのではないのでしょうか?

私は、牛肉を食べないのはある種の「レジスタンス」という職場の同僚の言葉を聞いて、「なるほど」と思いました。かつて、あるハンバーガーメーカーのハンバーガーを食べることによって、世界の森林を食べているのと同じだという話がありました。途上国の森林を伐採して、牧場を広げ牛を飼い、安い肉を提供しているという実態です。また、BSEに感染した牛を「食べてあげる」ということもしてあげられずに、「処分」される牛は「動物愛護」の精神にももとる行為です。

私たちは、この地球上で「食べられる動植物の命をもらって生きている」ということを再認識するべきでしょう。

話は変わりますが、子どものころ鶏を飼っていてそれを「つぶして食べよう」という家族の言葉に、「かわいそうだからやめて」と必死になったのを記憶しています。昔の日本では盆や正月のための食肉を得るために普通に鶏をつぶして(棒につるして首を勢いよく包丁で飛ばした光景はいまでも脳裏を離れません)その鶏を熱湯に浸し、羽をむしらせられたことを思うと、命をもらうことで命をつないでいることを思い出したのです。

限りある、地球の資源や食糧事情は、やがて深刻な問題に直面すると言われています。米国牛肉輸入再開で、その日の食料すら満足にありつけない、地球上の人々のことを決して忘れてはいけません。
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by rosso_fiolencino | 2005-12-27 20:03 | 政治・時事
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